男の子への贈り物として、一本のスズのスブーンを溶かして、25の小さな兵隊さんが作られた。でも最後の1つだけは、スズが足りなくて片足になってしまったんだ。紙のお城の広間の中央、片足を高くあげた踊り子に、いつしか恋をする。“あの娘も片足で、僕のお嫁さんにぴったりだ” 叶わぬ恋に胸を焦がして、ただひたすら気づいてくれることを祈る思いを妬むものがいた。びっくり箱の中の「小鬼」が言う!“ 明日の朝、見てろよ ‼” ❮後編につづく❯
❮前編につづく❯ 翌朝、彼は一体だけ…外が望める窓辺に置かれていた。…が置いたのだ。開け放たれた窓に、何故か一陣の風が吹き込んだ。彼は倒れ、そのはずみで窓から落ちていく。踊り子への想いも断ち切れずに、なすすべもなく、先の運命も知らずに…。❮つづく…❯
❮さらに、つづく❯ 紙の舟に乗せられ下水に流された彼は、海まで流され、魚に食べられてしまうんだ。そして「食べた魚」が漁師さんに釣られ、とあるお家の食卓に載った。家の人がお料理をいただこうとした時、彼は気づいた…。ずっと、帰りたいと願っていた、その家に戻って来れたなんて!何て幸せなんだ!
幸せの絶頂にあるかに思えたが、運命は過酷なものだ。「片足の兵隊💂なんか、いらない!」気まぐれな男の子は、彼をストーブの燃え盛る火の中に投げ入れてしまった。彼は“熔けていくなかで、踊り子を見た。” すると一瞬、ふわりと風が踊り子を巻き上げ、何かに誘われでもしたかのように、火の中に飛び込んできたのだ。彼は、踊り子が燃え尽きるのを静かに見送った…。後には♥の形をしたスズの塊と踊り子の焦げたリボンだけが遺されていた…。 ―オ・シ・マ・イ―